判例

S42.02.27 第三小法廷・決定 昭和42(あ)1814 恐喝、道路交通法違反(第22巻2号67頁)

判示事項:

酒酔い運転につき刑法第三九条第二項の適用がないとされた事例

要旨:

酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあつたとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法第三九条第二項を適用して刑の減軽をすべきではない。

主    文

     本件上告を棄却する。
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         

理    由

 弁護人宇津泰親の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて(なお、本件のように、酒酔い運転の行為当時に飲酒酩酊により心神耗弱の状態にあつたとしても、飲酒の際酒酔い運転の意思が認められる場合には、刑法三九条二項を適用して刑の減軽をすべきではないと解するのが相当である。)、刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。また記録を調べても、同法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同法四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項本文により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
  昭和四三年二月二七日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    飯   村   義   美