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判例
H01.03.28 第三小法廷・判決 昭和60(オ)727 建物収去土地明渡、遺産確認並持分所有権移転登記手続(第43巻3号167頁)民訴百選U[新法対応補正版]164事件
判示事項:
共同相続人間における遺産確認の訴えと固有必要的共同訴訟
要旨:
共同相続人間における遺産確認の訴えは、固有必要的共同訴訟と解すべきである。
参照
民訴法62条,民訴法225条,民法898条
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告代理人丸茂忍の上告理由第二点について
遺産確認の訴えは、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴えであり、その原告勝訴の確定判決は、当該財産が遺産分割の対象である財産であることを既判力をもつて確定し、これに続く遺産分割審判の手続及び右審判の確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さないとすることによつて共同相続人間の紛争の解決に資することができるのであつて、この点に右訴えの適法性を肯定する実質的根拠があるのであるから(最高裁昭和五七年(オ)第一八四号同六一年三月一三日第一小法廷判決・民集四〇巻二号三八九頁参照)、右訴えは、共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要するいわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
その余の上告理由について
所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に基づいて原判決の違法をいうものにすぎず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 安 岡 滿 彦
裁判官 伊 藤 正 己
裁判官 坂 上 壽 夫
裁判官 貞 家 克 己